Q.中古物件(土地・建物)の売買価格はどのように決まるのですか?

Q. 中古物件(土地・建物)の売買価格はどのように決まるのですか?

A.物件種別によって様々ですが、一般的に不動産は融資を受けて購入する事が多い為、金融機関の予 想評価額を参考に、それに加えて物件の特性や需要の高さ等を考慮して価格を調整します。

土地については、<不動産の土地(更地)価格はどのように決まるのですか?>をご参照下さい。

建物については、構造や築年数また建物のコンデション等によって大きく左右されます。 基本的に金融機関では、法律で定められた建物構造別の「法定耐用年数」(減価償却年数)の残存期間 を基準として建物評価額を算出する事が多く(収益物件の場合、金融機関の建物評価にはもう一つの評 価方法がありますので後述させて頂きます。)、築古の建物は金融機関の建物評価額が伸びずに購入者 の必要自己資金比率が高くなるため、購買需要の低下から築浅の物件と比べて価格が落ちやすい傾向にあります。
建物の法定対応年数の残存期間が残っていない場合においても、建物のコンディション(修繕履歴の有 無等)や立地の希少性、土地の資産価値など、価格に影響する要因は様々です。 このように土地建物のそれぞれの価値を合算する方法を「積算法」といい、そこに土地の実勢価格や建物の付加価値などで更に修正を加えて実際の購買需要に対して売却が予想できる価格帯での査定がなされます。
また、戸建住宅や居住用マンションなどは住宅ローンなのでその他融資と比べ借入のハードルが低く、比較的流動性が高くなります。したがって、一部の高級住宅エリアを除いて、居住用不動産の価格根拠 は周辺相場が何よりも優先されます。築年数や延床面積などからエリア別の相場を軸に、土地形状や建物のデザイン性・設備グレードなどによって価格は上下しながら査定されますが、戸建物件などで建物が極端に古い場合などには土地値での売買が行われるケースがほとんどです。

一方、賃貸アパートや賃貸マンション等の収益物件においては「収益還元法」(対象不動産が将来生み出すであろうと予測される収益価値と、現在価値を総合した評価額)という評価方法も融機関の5般的な物件評価額算出根拠の1つであり、「収益還元法」による『利回り』は投資家の主な購入指標にもなっている数値です。(利回り=年間収益÷物件価格×100)
例えば、利回り10%の物件の場合、物件価格の10%が年間の収益となり、表面上の単純計算では物件購 入金額を10年間で回収できる計算になります。(また、経費等を差し引いた実際の収益で算出したキャ ッシュフローがより正確な利回りは「実質利回り」や「NET利回り」などといいます。)
利回り相場は、その物件の立地や構造・築年数により全く異なる為、高利回りだからといって価格が安 いと言えるわけではありません。高利回りでも賃貸稼働率が悪い立地だったり、建物が古いと将来的に 修繕・建替えが必要になったりと、低利回りの物件よりも最終的な手残り利益が少なくなる可能性もあります。逆に、低利回りでも流動性の高い都心エリア等は、賃貸の稼働率も良く将来的に売却する際も 土地の資産価値が落ちにくい為、安定した資産運用を目的とした購入需要が高いので比較的に低利回りが相場となっています。
また、仮に周辺相場の利回りが7%のエリアでも、土地が広く利回り7%の価格設定にすると土地値を割ってしまう物件などには、利回りよりも土地値を優先とした価格設定になることが多いです。 このように、エリアごとの構造・築年数における適正な利回り相場を精査し、その他土地・建物のポテ ンシャル、また周辺環境や将来性を加味しながら不動産価格は調整されます。

以上の評価方法にて仮に金融機関の評価額が売買価格を大幅に下回る場合においても、現金決済の購入者がその物件を気に入れば融資を使わずとも取引が成立するため、以上の評価方法による算出価格はあくまでも参考価格といえます。特に東京23区などの都心の物件は、「積算法」にて価格を算出する場合 は、需要の高さから積算額よりも高い相場価格であることがほとんどです。とても購入競争率の高い人 気な立地や、大型の商業開発用地などは、このような評価方法を一切無視して、チャレンジ価格とも呼べるような高額での価格設定をし、実際に取引が成立していることもよくあります。

物件ごとの特性や周辺相場また需要の高さなどを織り込んだ価格調整は、高度な知識と経験が必要なた め、的確な価格査定ができる不動産会社は意外にも多くはありません。また、媒介契約を目的として故 意に相場より高額な査定金額を提示されたが故に、最終的には大幅な値下げをして売却せざるを得なかったケースや、相場を知らずにとても高値で不動産を購入してしまったりというケースも多くあるので、事前にポータルサイト等で相場を下調べしたり、不動産会社に周辺の成約事例を見せてもらうなど して適正価格を自身で調べる事が重要です。