Q.不動産売却時の契約から決済までの流れを教えてください

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Q. 不動産売却時の契約から決済までの流れを教えてください。

A・買主が決定したら、条件にもよりますが一般的には契約から決済まで 1 ヶ月~3ヶ月程かかります。

ステップとしては下記の通りです。

① 売却物件の査定をします。
不動産会社へ物件の図面や築年数のわかるものを持参して(収益物件であれば各部屋の賃料をまと めたものなども)概算の査定金額を出してもらいましょう。よくある手法として媒介契約を取得し たいが故に現実的ではない高い査定額を提示し、売れ残った後に最終的にはとても安価な売却値に なってしまったり、逆にとても安価な査定額で言いくるめて自社買取後に転売したりと、この時点 で今後の売却が大きく左右されるので、会社の規模や担当者のトークに惑わされずしっかりと価格 根拠や最低売却予想価格などの確認をすることが大切です。予めご自身でポータルサイトなどを参 考に相場感を調べておき、極端に高かったり安かったりする場合には価格根拠などを聞いて納得で きる不動産会社を選びましょう。

② 媒介契約を締結します。
 信頼できる不動産会社が見つかったら、媒介契約書を締結します。媒介契約には三種類あり、それぞれのメリット・デメリットは下記のとおりです。

【一般媒介契約】
契約期間に定めは無いが、一般的に3ヶ月程度(更新可能)
メリット:複数の不動産会社と同時に媒介契約を締結する事ができる。また、依頼者自身が発見した購入者に売却する場合は不動産会社を仲介人とする必要はない。
デメリット:他社とも媒介契約ができる特性から不動産会社は広告を出し辛く(他社が物件情報を 元にオーナーに直接連絡する可能性がある為)広く募集をかけれない為営業が消極的になる。

【 専任媒介契約 】
最長で3ヶ月の契約期間(更新可能)
メリット:7 日以内に不動産会社は不動産流通機構(通称「レインズ」)に登録する義務があり、14 日に 1 回以上の頻度で依頼者へ活動状況の進捗が報告される。不動産流通機構は物件の自社囲い込みを抑制する情報共有システムであり、他社にも情報が共有されるのでより広く好条件の買主を募集することができる。
デメリット:依頼者自身が発見した購入者(親戚や近隣住戸の知人など)とは不動産会社を介せず に販売できるが、媒介契約を締結できる不動産会社は1社のみ。 

【専属専任媒介契約】
最長で3ヶ月の契約期間(更新可能)
メリット:5日以内に不動産会社は不動産流通機構(通称「レインズ」)に登録する義務があり、7 日に 1 回以上の頻度で依頼者へ活動状況の進捗が報告されるため、専任媒介契約と比べ、より売却の進捗状況を細かく確認できる。
デメリット:媒介契約を締結できる不動産会社は1社のみで、依頼者自身で購入者を発見した場合 も自己発見取引はできずこの不動産会社を介して売却しなくてはいけない。(いかなる場合において もこの媒介会社を通す為、必ず仲介手数料がかかる)

一般媒介契約ではレインズへの掲載の義務はありませんが、専任・専属専任媒介の場合は必ずレイ ンズに登録しなくてはいけません。しかし義務は登録のみなので、情報の一部分のみ登録して事実 上は自社で物件情報を独占している会社も多くあります。必ず販売図面を作成して情報を細かく掲 載しているかを確認し、より広く購入検討者を募る事が重要です。

③ 仲介会社と進捗情報を共有しながら、購入検討者を待ちます。
物件の種類や立地にもよりますが、 1、2ヶ月経っても売却値での反響が極端に少ない場合や、大幅な指値交渉が多い場合は、査定額 (売り出し額)が周辺相場と比べ高額であった可能性があります。媒介契約更新の前に今一度不動 産会社を見直し、より現実的な売却プランを検討しましょう。

④ 購入者が見つかったら、条件をすりあわせます。
購入者から「買受申込書」や「買付」と呼ばれる購入意思を提示した書面が届くので、記載されて いる購入価格や条件を精査し、契約可能かどうかを判断します。よくある例として、境界確定条件 や越境物解消条件等により、隣接地などの合意がとれずに契約が白紙解約となってしまうケースで す。このような条件の場合は期間損失リスクが高くなってしまう為、状況や物件の特性を考えなが ら、条件が現実的でない場合は交渉のうえ売主買主双方の折り合いを図る事が大切です。 また、ローン特約が条件となる場合は、事前審査は通っているか等を確認して、現実的に購入可能 な検討者かどうかをある程度打診してから契約する事が重要です。

⑤ 仲介会社に契約書を作成してもらいます。
 主に仲介会社には、「元付」と呼ばれる売主から直接売却依頼を受けている会社、「客付」と呼ばれ る買主に物件を紹介した会社の2社が関わっている事が多く、(元付と客付が同一会社の場合もあり ます)一般的には「元付」と呼ばれる不動産会社が契約書等を作成します。

⑥ 契約条項のチェック
トラブルを回避するために、仲介会社を通して様々な条項や特約を織り込んでいきます。 詳細は<売買の契約条項で気を付けることはありますか?>をご参照下さい。

⑦ 契約(契約書の案文ができてから、一般的に 2 週間~3 週間ほどです)
身分証明書等の必要書類や、権利証(物件の所有を証明するもの)、重要事項説明(不動産にかかわ る重要事項)を確認したうえで、契約書に捺印します。

⑧ ローン特約がある場合、買主の融資本承認を待つ(金融機関にもよりますが、一般的に2週間~3 週間ほどです。)
買主が融資を利用して物件を購入する場合は、融資の本承認が決済条件(ローン特約)となりま す。融資の本承認は捺印済み書の契約書を金融機関に提出してから一般的に 2 週間~3 週間程で下 りるので、買主の本承認が下りたら決済に向けて準備しましょう。

⑨ 決済にむけての準備
物件に抵当権がついている場合は、完済を証明する解除証明書や弁済証明書などと呼ばれる抵当権 抹消に必要な書類を物件決済日にあわせて金融機関に準備してもらいます。基本的に抵当権の抹消 登記などは司法書士に依頼しますが、買主が所有権移転登記等を行うため抹消登記も同じ司法書士 の方が効率的なので買主の司法書士を紹介してもらうのが一般的です。抹消登記の相場は 2 万円~3 万円ほどなので、もし大幅に高い見積金額を提示された場合は抹消登記のみ売主指定での司法書士 を選別することも可能です。

⑩ 決済(退去条件・境界条件・借地・引渡し時期指定等がなければ、一般的に契約から 1 ヶ月~2ヶ 月程度です)
融資をうける金融機関のブースを借りて決済を行う事が一般的ですが、高額な取引になりますの で、事前に金融機関と最終的な振込金額等を打合せし当日に慌てることが無いようにしましょう。 また、仲介手数料などの残代金以外に支払い金がある場合は支払方法を確認する事も大切です。 一般的に売買にかかわる領収書などは仲介会社が代理で作成したものに押印する事が多いですが、 登記必要書類として印鑑証明や、以前の登記時と住所が変わっている場合は住民票などの各種書類 の持参が必要になります。 また、買主と共同で捺印が必要な書類(区分マンション等の場合は管理組合に提出する所有者変更 届や、賃借人へ発送する所有者変更通知等の書類)への押印も同日に行います。 投資物件の場合はインターネットやプロパンガス等の付帯設備契約の名義変更もありますので、付帯設備等がある場合はあらかじめ仲介会社に書類の手配を確認してください。

物件の引渡し 残代金支払い後、鍵の受け渡しをして取引終了です。
水道光熱費などは引渡日から買主負担となりますので、投資物件で共用部などがある場合は早急に電力会社や水道会社に連絡が必要です。
抵当権設定登記や所有権移転登記は、売主の抹消登記(権利を消す登記)と同時に申請するので、 法務局で取得できる謄本に登記事項が反映されるのは決済日から 2 週間程かかります。